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大規模整備計画2014 ~あとがき [バイク]

今日は台風接近で外出もままならず、今回の整備についてのあとがきを書いてみる事にしました。

5月に行った鈴鹿サーキットの走行会でエンジントラブルが露呈した訳ですが、正直これに参加しなければ何事もなくそのまま使い続けていたと思います。

確かに加速時に白煙を吐いていたのは昨年11月のツーリングの際、後続車からの指摘で知ってはいましたが、季節柄オーバークールで油温が低いせいだとあまり気にも留めていなかったのですが、まさか適正油温でもブラックフラッグが出る程まで悪化していたとは知る由も有りませんでした。

と、言うのも普段の走行では精々3~4000rpm程度で、レブリミットの9500rpmまで回す事は滅多にない事ですから、加速がタルイなぁ~オイルも吐いて来たので経年劣化のせい…程度しか感じなかったのです。

多分、この時期あたりから症状が酷くなっていったと思われます、そんな事は無いと思いますが憧れの北海道を走れてエンジン君ももう心残りはないと思ったのかもしれません。

その後、長野、和歌山、島根や四国と走りましたがツーリングだったのでフル加速する事も無く、症状の進行に気付く事は有りませんでした。

そう言う意味でもサーキットと言うのはゴマカシが効かないステージで、エンジン・サスペンション、そしてタイヤと全てがベストコンディションでないといけないと言う事はミニバイクのレースを通じても分かっている事ですし、裏を返せばサーキットを問題なく走れるコンディションこそ最良の状態とも言えます。

もしツーリングにしか使わなかったら、エンジンがここまで傷んでいるとは思わなかったでしょうし、加速の鈍さも経年劣化の範囲で済ませていたかもしれません。

摩耗するのはピストンとシリンダー、クランクのメタルだけでなくオイルポンプも摩耗しますので、どんなに良いオイルを入れても油圧が下がればいとも簡単に潤滑不良を起こしてしまい、いずれ抱きつきを起こすか最悪エンジンロックと言う結末になっていたかもしれません。

他のオーナーさんのお話からこのエンジンは80000kmあたりがOHの1つの目安だと思っていたので、私も80000kmあたりでOHを…と考えていましたが、OHを専門にされる方のお話だと大排気量エンジンの場合50000kmか10年あたりがOHの目安との事でした。

それは50000kmか10年でOHし、100000kmか20年で再びOHし、その先はもう部品が手に入らないでしょうと言うものでした。

バイク君のように20年間一度もエンジンを開けていないと言う事であれば、部品のあるうちに一度はOHしておいた方が良いとの事、確かにそのバイクがとても気に入っていて今後も走り続けたいと思うのなら、それぐらい長期的にモノを見なければならないと言う事、乗り続ける事と走り続ける事は、似ているようで全く違うものだと言う事を実感しました。

乗り続けるとはそのバイクが壊れて乗れなくなるまで乗る事、走り続けるとは自分が満足するまでそのバイクで走り続ける事で、壊れて部品が無いから「買い替える他ないな」と言う強制終了が無い事を意味します。

エンジンについては国内仕様のエンジンに限って言えば800基しか生産されておらず、21年を経過している事から程度の良い中古エンジンを入手する事が0ではないがほぼ不可能に近い事、フルオーバーホールも検討しましたが整備に費やす時間と費用が多く掛る事、さらに別車種のエンジンながら比較的搭載が容易で有り、構造変更の手続きが必要となるものの現行車種と基本的に同じで部品の入手について将来性も有る事から今回のエンジン積替えを決断しました。

ただこの時点で人並み以上の事をしようとしているのだと一瞬怯みました、と言うのも先人の例が有るとは言え他車種のエンジンを搭載するなんてハードルが高すぎるのではないか?と言う事です。

しかもエンジン交換を決断する前から頼りにしていたバイク屋さんも、いざエンジン交換を依頼しようとすると忙しさを盾に断られてしまいました。

ん~忙しさが一段落するまで待つか?でもそれじゃ秋には間に合わないし…いや自分でやれるだけやってみるか?と思い始めました。

今まで培ってきた整備スキル、プロには叶わないにせよそれなりに整備出来る力は持っているのにも拘わらず100kgを超える重量物に恐れを成して安易に人任せにしようと思った自分が情けなく思えて一念発起、そこで「戦わずして負けを認めるのか?努力した者にだけ幸運の女神は微笑むのだ、100kgを超えるエンジンの脱着にバイク整備のスキルなんて要らない、要るのは力学と理論だけだ、そして最初から人をアテにしてはいけない、信じるのは自らのみ。」と一人で強行する事を決意し作業を開始しました。(エラく大げさに…^^;)

まずエンジン等の金属加工は道具が無いうえ騒音の問題も有る事からその部分は別の方法を考えるとして、通常の整備はいつもしているので問題無し、書類は「事務屋」ですから得意中の得意、気かがりなのはエンジン脱着を本当に自分一人で出来るかと言う事でしたが、力が無くても道具や知恵でカバー出来ると踏み出す事に。

それとエンジンを積み替える事でオリジナルでは無くなってしまいますが、既にジェネレーターをはじめ各部のパーツは別車種のものを流用せざる負えない状況に陥っており、オリジナルと言うには程遠くエンジンを積み替えても「純度」が下がるだけで、それよりもこの先もこのバイク君に乗り続けられると言う事の方が大事だと思ったからです。

でもエンジン交換により当時はレーシングマシンにしか採用されていなかった鍛造ピストンや浸炭コンロッド、メッキシリンダーが自動的に手に入ると言う魅力は有りましたが…^^;

言うなれば今回の通常整備は、これからもこのバイク君に乗る為の「延命措置」で有り、各部のパーツも一部を除いて使えなくなったから交換すると言う「対症療法」ではなく、問題なく使えるけれど「古い」と言うだけで交換すると言う「予防整備」だったりします。

このあたりはレース屋の発想ですね、使える使えないじゃなくて、ある期間(時間)走れば無条件に交換すると言うのは…

古いバイクに故障やトラブルが出易いと言うのはただ単に交換時期に来ている部品を交換せずに乗り続けているからで、ちゃんと交換してあげれば問題有りませんし逆に交換しない所は確実にいつか壊れます。

今回の標準整備工数は38.7h(ただしエンジンの加工等、パーツリストに記されていない作業も8,000円/hで工数に換算しています)でバイク屋さんに頼むと税込で35~40万円くらいですが、最近は実作業時間で工賃計算する所も有るようなので、そうなるとこれの1.5~2倍くらいになるかもしれません。

構造等変更検査は車検+αですから10~15万円くらい?、書類作成も最低10万円は掛るようなので税込にすると65万円くらいは「労働」したと言う事でしょうか。

もっとも近年のバイク屋さんはエンジン交換と言っただけで「ウチはやらないよ。」と言う所が多くなっているので、やってくれる所を探すだけでも大変かもしれませんし費用もほぼバイク屋さんの「言い値」になってしまうので相当額(1メガ円とか)の請求が来ると思われます。

そもそもエンジン交換なんてOHするより安くて手間も掛らないからするのに、OHより高くなるなんて洒落にならないですよね。^^;

そう言う意味では古いバイクに乗り続けるのは難しくなって来ているように思いますし、賢者の選択では有りません。

しかし今持っている整備スキルはこのバイク君に乗り続けていたからこそ得られたものであり、ツーリング先で有る程度のメカニカルトラブルに遭遇しても自己解決出来ると言うのはJAFや保険よりも安心出来ますし、トリアージと言う訳では有りませんがその場で修理可能(ツーリングの継続)の有無を判断出来ると言うのは大きいと思います。

ピックアップ未交換で中高回転に力が無いものの当初の目標であった全国ミーティングへも参加出来たうえ、ノートラブルで後日の交換・点検の結果問題なかった事から、これでめでたしめでたしですね。

ともあれ、今夏は大規模整備に注力したお蔭で昨夏に北海道ツーリングで散財した分×3は取り戻せたように思います、今度はこの新しいエンジンで北海道を走ってみたいですね。


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