グリスの功罪とアースラインの重要性 [バイク]
今日は仮組みしていたリヤ周りを一度バラして各所の計測を行っていたのですが、トラブルが発生し解決したのですが気が抜けてしまって計測後仮組みするだけとなりました。
整備では欠かす事出来ないグリス、ウレア・モリブデン・シリコンの3つを場所によって使い分けている訳ですが、今日整備していて思わぬ出来事がありました。
事の発端はリヤ周りをばらしていて、あまりに暑く気温が分からないので無線機で温度を見ようとキーを捻った時でした。
時計が消え、油温計とカーナビが動作せず無線機とETCだけ電源が入り、ウインカーもホーンもヘッドライトも動作しない、ニュートラルランプだけがいつもより明るく光っていました。
この症状を見て、???…「な、何なんだ、これ?こんな症状、今まで見た事も無い…」
キーをOFFにすると何事も無かったかのように時計は表示され、正確な時を刻んでいます。
まさかと思いつつテスターでバッテリーの端子電圧を測ると12.65V、ん~何なんだろうと思い、再びキーを捻ってクラッチレバーを握った瞬間、油温計とカーナビが動作し時計も表示されライトやウインカーも動作します。
しかし様子がおかしく油温計の電圧計は11.2Vと低く、しかもクラッチレバーから手を離すと、先ほどと同じ症状に戻ってしまいました。
さらに、?????…仕方なく回路図の載っているサービスマニュアルを取りに戻ろうとした時に足元あたりからスパークするような音が一瞬聞こえました。
「えっ?スパーク?ショートでもしてるの?」と足元を見るも熱を持っている所も無く有るのはサイドスタンドと外して垂れ下がっているシフトペダルだけ…
「待てよ、もしかしてエンジンとフレームが絶縁されているのか?」とシフトペダルの軸に付いているボルトをスイングアームのピボットボルトに接触させるとスパークを確認!
「そうか、バッテリーからのアースはエンジンとワイヤーハーネスには落ちているけど、フレームには落ちてないのか、確かに油温計とカーナビのアースはボディーアースから取っているので、これなら合点がいく。」とシフトペダルの軸をフレームに所定の位置に取り付けてキーを捻ったら何事も無かったかのように正常作動。
当たり前と思っていた事が当たり前では無かった…と言いますか、バッテリーとワイヤーハーネス、エンジン、そしてフレーム(ボディー)のアースは全て繋がっているのは当然と言う事です。
しかし今回はそうでは有りませんでした、ぢつはエンジンを積替えた時にフレームとエンジンはボルトで接続されている事と、ワイヤーハーネスからもフレームにボディーアースされているので、(手持ちのハーネスの関係上)バッテリーからフレームへのアースラインは引いていませんでした。
全て組み上げてエンジンも掛かり今まで全く不具合も無く走れていたので、問題ないと思っていました。
ところが実際にはエンジンを搭載する時、滅多に外さないエンジンのマウントボルトだからこれでもかとグリスを塗布して組み上げたので電気的には絶縁状態となっていてバッテリーからエンジンには行くもののフレームへのボディーアースはされておらず、ワイヤーハーネスの細いラインからボディーアースされているのみの状態となりアース容量が極端に不足した事から大幅な電圧降下を起こしてしまったと思われます。
要するに今までワイヤーハーネスの細いラインとバッテリー~クランクケース~シフトシャフト~シャフトペダル~フレームと言う2つのラインだけでフレームにアースされていたと言う事です。
早速、バッテリーからフレームへアースラインを引き、シフトペダルを外してもちゃんと動作するようになりました。
それにしても見えない電気、恐るべし…
アコモさん
電線でないところに電気が流れていて
それがうまく流れなくなってしまう。
グリスは絶縁状態を作るのですね。
電気関係のトラブル、非常に解決が
難しいように感じます。その答えを
見つけていくこと、いつものようにすごいと
思います。
by nadoyama (2015-07-20 20:52)
nadoyamaさん、コメントありがとうございます。
電気って目に見えませんから、一たびトラブルが発生すると解決するのに時間が掛かってしまいます。
今回はスパーク音を発見出来たのでスピード解決となりましたが、要因も1つだけでなく2つも3つも重なっている場合だと、お手上げになってしまいます。
なので電気仕掛けの便利グッズはわざと2系統に分けて有ったりします、特にETCは停止すると非常に困るので万一トラブルが発生し修理出来なくても、もう1つの系統であるカーナビ・油温計を止めてETCに振替え出来るようにしています。
グリスは導電性グリスと言うのがあって電気を通すものも有ります(メインキーの電極とかに使われています)が、車体に使用するのは基本的に普通のグリスですから絶縁体なのです。
今回は何かと身になるトラブルだったように思います、これでまた1つバイク君の事が分かるようになりました。
by アコモ (2015-07-20 21:35)